間違ってる?間違ってない?
19. 一方的なのは?

鬼頭弁護士事務所に着いた。

受付の方に案内されて
個室へ。

直に年配の男性が入って来られて
「鬼頭と申します。」
と、言われて
「あっ、甲斐です。」
と、立ち上がり伝えると、
「どうぞ。」
と、言われて座りなおす。

先程の受付の方が
珈琲を持ってきてくれて
お礼を伝えた。

「私は、山城さん
お父さんの優さんですね。
優さんの知人と私が友人と言う
関係で依頼をお受けしました。
私の説明は以上です。
それでは、本題へ。」
と、言われて
鬼頭さんは、机の上に一枚の紙を
広げた。

見ると·····離婚届·····

俺は、驚きで
離婚届と鬼頭さんを交互に見ていた。

すると鬼頭さんが、
「やはり、貴方、甲斐さんは、
こうなっているとは思って
いなかったのですね。
お電話の時にそう感じました。

奥様の夏帆さんは、
かなり傷付いておりまして
修復は無理との事です。

本当は、自分の荷物だけを運んで
終りにしたいと、おっしゃったらしい
のですが、ご両親と私の方で
きちんとした方が良いと提案致しました。
それで、
①夫婦財産は、折半。
 ただし、
 保険や退職金等は、関知しない。
②マンションは、夏帆さんのみ退去
③まだ、結婚してわずかの為
 夏帆さんと山城家に対して
 迷惑料として100万を
 請求致します。
     以上と、なっています。」
と、言われて
「あのっ?夏帆とは話しは
出来ないのですか?」
と、訊ねると
「はい。
夏帆さんは、お会いしたくないと。
仕事では、いつか合う事になる
かもしれないと言われていました。」
と、言う鬼頭さんに
「でも、一方的過ぎますよね?」
と、怒りもあり言うと
「そうでしょうか?
先に一方的な事をしたのは
甲斐さん、貴方の方では。」
と、言われて
言い返せなかった。

鬼頭さんは、
「内容も踏まえて
持ち帰って決めて下さい。
山城さん側からは、一日も早くと
言われていますが。」
と、言われて
離婚届と一緒に
内容記載の書類を渡された。

俺は、鬼頭弁護士の事務所を出て
実家に戻った。

急に帰ってきた俺に
両親は、びっくりしていたが、
内容をきいて 母は驚いていた。

父は、何も言わずに
母は、どうして?と。

俺は、鬼頭弁護士に言われた事を
両親に話した。

母は、夏帆や夏帆の両親に
怒っていたが
父から
「山城さんの方が真っ当なんだ。
山城さんの文句を言う必要ない。」
と、母と俺に言うと
ダイニングから出て行った。

母は、父の後姿を見ながら
まだ、ブチブチ言っていたが。

俺は、途方にくれていた。

このまま、夏帆の言い分だけを
受けいれて良いのか?

俺だけが悪いのか?

こんな事位で本当に離婚できるのか?

俺の気持ちは?
夏帆の気持ちは?
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