間違ってる?間違ってない?

···退院


柳田さんは、退院するまでの間
毎日、病室に顔を出してくれた。

本の短い時間のときもあれば
一時間、二時間の時もあった。

学生の時の話しや
仕事に付いての話しを
沢山した。

母は、睦君、睦君と
彼が来るのを楽しみにしている

父も、良い子だと言い出すし
優志は、苦笑いをしている。

無事に抜糸も済み
退院の日も決まった。

柳田さんは、退院の日
勤務があるからと
終わってから
自宅に来てくれて
直ぐに帰って行った。

私が疲れているだろうから
と。
まぁ、その代わりに連絡先を
交換させられた。

だが····
本当に申し訳ないくらい
気を使って貰っている。

退院してからは、
少しずつ、外に連れ出してくれた。

両親と優志に許可を得て。

初日の30分は
家の回りを

それから、近くの公園
それから、最寄りの駅
電車やバスにも乗った。

何日か置いて
睦さんの車で出かけた。

いよいよ明明後日から
勤務に復帰となり
「二日間は、ゆっくり休んで。」
と、言われた。

正直、家族以外の人にあったり
外にでると疲れてしまう所が
あった。

だが、睦さんとあちこちしている間に
少し落ち着いてきた様に感じられた。
不思議だ······

退院して10日目にはシーネも外れた。

不安はあったが両手が動くことの
便利さを改めて感謝する。

仕事に復帰すると
支店長を始め皆さんから
心配されたり喜ばれたりした。

倉橋さんは、何度も病院や自宅にも
来てくれた。
皆さんに快気祝いをお渡しした。

山名さんも来てくれて
涙を流されて恐縮してしまいながら
お見舞いのお礼と快気祝いを
お渡しした。

初日もだが
ゆっくり身体を慣らしながら
勤務をするように支店長より。

純友銀行の頭取りより
表彰も頂き、びっくりする。

お客様の安全を考慮したと
言う事らしいが。
そんな大袈裟なものではないのに·····

晶ちゃんや穂積君、山田君も
会いに来てくれたり
連絡をくれたり
本当に、皆んなに助けられていた。

「夏帆ちゃん。
復帰したばかりだから
疲れているのかもしれないけど。
元気ないよね?」
と、倉橋さん。
「ん?そうですか?
疲れては····いないような。
皆さんにフォローして貰っていますし···」
「し·····なに?」
と、言われて
自分でも良く分からないが
復帰して仕事の感も
少しずつ戻りやり甲斐もある
だが、心が?と思い
正直に倉橋さんに話すと

少し驚いた顔をしながら
ニヤリと笑う倉橋さんに
戸惑いながら
「なっ、なんですか?」
と、訊ねると
「夏帆ちゃん。
    それって··········。」
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