間違ってる?間違ってない?
···夏帆
銀行の事件から
まる二年が過ぎた。
睦君が言うには······
事件後の私の警戒心は
落ち着いてきた、と···。
そう·····
あの事件の時に
毎日病院へと来てくれて
声をかけてくれ
退院後も私を外に連れ出して
くれた理由を妹さんの話しを
交えて教えてくれた。
その時、睦さんの気持も
きかされたが·····
そんな事·····
私自身、気づいてもなかった。
もちろん両親もわからなかったと
弟の優志は、トラウマが
起きないと良いと
思っていたらしい·····が······
本当に感謝しかないのだが·····
私は離婚したばかりで
そんな気持ちになれず
正直に気持ちを伝えると
睦さんは、
「友人?知人?
として優志の先輩として
接して欲しい。」
と、言われたから
それには、お願いをした。
だが、今まで頻繁に会い
会えないときは、連絡が来ていたのに
一変に、途絶えてしまい
私は、ポカンとしてしまった。
そんな私に倉橋さんは····
不思議そうに訊ね
私の気持ちを話すとニヤニヤ
笑い出して
「夏帆ちゃん。
それって、連絡なくて、会えなくて
寂しいって、言ってるもんじゃない。」
と、言われて
ええっ·······
そんな事·······って
でも·····否定できない自分がいて
自分でもびっくりしていた。
それが、わかっても
自分からは、中々 動けなくて
どうしたものかと·····。
少しすると、弟の優志が
睦さんを連れて帰ってきた。
両親から
お礼をしたいからと
お願いされたらしい。
お礼が、したい··と言う事·····と
私が寂しそうにしていたから?と
優志も、睦さんが元気かない?
ような気がして、と言っていた。
その日、母さんの手料理を
五人で食べながら柳田さんから
「どう?変わりない?」
と、訊かれて
「はい。大丈夫です。
柳田さんは、変わりないですか?」
と、私も訊ねた。
すると、柳田さんは
「仕事は、そつなくこなしていると
思います。俺としては。
でも、心配かけていたみたいで」
と、優志を見ると
優志は、笑いながら
「だって、先輩·····
と、言いかける優志に
「優志!」
と、柳田さんが言うと
優志は、苦笑いをして口を閉じた。
それを見てから
「さっきは、少し嘘を言いました。」
と、私が言うと
柳田さんが、
ん?と言う顔をしたから
「私も同じです。」
と、言うと
「同じ?」
と、訊ねられて
「·····心がっ····心にポカンと穴が
空いたような·····」
と、言うと
不思議そうな顔の柳田さんに
「寂しかったみたいよ。」
と、母さんが
「寂しかった?」
と、柳田さん。
「鈍いわね。柳田さんに会えなくてよ。」
と、言う母さんに
「かっ、かあさん!!」
と、慌てて言う私に
驚いた顔をして私を見る柳田さん
「····だって、しっ···仕方ない
でしょ······っ。」
と、言うと 柳田さんは、
にっこりと笑って
「良かった。
同じ気持ちで。」
と、言われたから
何も言えなくなって
顔が赤くなるのがわかった。
そんな私達を父や母、優志は
温かい目で見てくれていた。