再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
 そして。
 フリーだと言っていた。

 あのとき、お姉ちゃんのこともあり、告白できずに終わったけど、今回はこれ以上親しくしたら何かせずにはいられないかもしれないと自分の中で不安が大きい。

 「雫?聞いてるの?昼休み終わるよ?早く食べなよ。」
 スプーンの動きが止まっていた。
 亮ちゃんのことを考えていると食欲がなくなる。

 胸がいっぱいになって。
 やだな、高校時代の私みたい。

 とりあえず、週末を乗り切ってから、私の活動とやらは方向性を定めるべきかも知れない。

 金曜日の夜。
 営業部は亮ちゃんの歓迎会らしい。
 と言うことは、亮ちゃんにお付き合いするのは、日曜日かもなあ、なんて思っていたらメールが来た。

 土曜日11時くらいにウチのほうに来ると書いてある。
 ウチに来たら大変だよ、と返信する。
 お父さんもお母さんも懐かしがって亮ちゃんを離さないに違いない。
 
 今はまだ亮ちゃんと再会したことは両親には内緒。
 お母さんの耳に入ると、お姉ちゃんへ話してしまいかねない。
 私だけの秘密にしたい。せめてそこは独り占めしたい。

 結局、亮ちゃんのホテルのロビーで待ち合わせにした。
 そのほうが、お酒飲みすぎてる可能性もある亮ちゃんを待つのにイライラしないですむ。

 とりあえず、ホテルなら10時でもいいよと言われた。
 なら、間を取って10時30頃には下にいると連絡する。

 
 
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