再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
「昨日の飲み会もお前の話を男どもから散々聞かされて、マジで焦った。他はどうあれ、新田が本気らしい。お前と付き合いたいと他の営業事務の女の子に言って、悲鳴があがってたぞ。」
嘘でしょ。やめてよ、信じらんない。そんな人だったの?
「営業の奴らが言うには、雫は高嶺の花でなかなか口説いても落ちないと皆口そろえてた。新田は状況を固めるのがああいうタイプには一番だと言っていた。お前の弱いところを知り尽くしてる。ホント危ないところだったな。新田は少し知っている。仕事も出来るし、男から見てもなかなかいい奴だ。争うとなれば本気を出さないといけなくなる。お前のこと、諦めてくれるといいが。」
握った手をブンブン振り回しながら進んでいく。
私はあまりのことに明日からの自分の立ち位置を考えるのに精一杯。
カスミの手助けだけでは新田さんの親衛隊の攻撃をかわせないかもしれない。
なにより、飲み会で言うとか、上司の耳にも入ったらより面倒なことになる。
あー、考えただけでもぞっとする。
結局、内覧を他2軒して、最後のところに決まった。
ウチと会社の間という彼の希望通り。そして、割とリッチなマンション。
お金は俺が出すから関係ないと素っ気なく言われる始末。