再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
 
 夕方、亮ちゃんのホテルに手を引かれて帰る。
 「ねえ、今日は帰るよ。家にも泊まるとは言ってないし。」
 無言で手を握る亮ちゃん。怖いよ。
 「もう、忘れたのか。今日は帰さない。明日、ここから美容院に行け。」
 「どうして?慌てなくても、大丈夫だよ。」
 「何が大丈夫なんだ?お前、新田に囲われて逃げられるとでも思ってるのか?先にお前を俺のものにする。奴にはそう言わないとひかないだろうしな。嘘を言う気はない。雫の態度を見れば分かるようにするんだ。だから俺が先に雫をいただく。」
 少し強引すぎない?亮ちゃんって前はこんなに強引なこと一度もなかった。なんか、狼みたいだよ。

 エレベーターに乗ると、正面を向いて顎を捉えられた。亮ちゃんの顔が落ちてきて、キスされる。
 何度も角度を変えて優しくキスをする。
 チンっという音と共に、背中を押され、開いた扉から出る。

 奥の部屋。
 
 エグゼクティブクラブルーム。
 普通の所よりは全然広い。ここに、2週間以上住んでるの?
 部屋へ背中を押されて入れられると、抱きしめられる。
 すぐに?イヤだよ。焦って、声が裏返る。
 「亮ちゃん、お腹すいたし。シャワー浴びたいし。着替えもないし。」
 上から呆れた顔でこちらを見る亮ちゃん。
 「全く、相変わらずだな、雫。妹みたいなところも可愛いが、これからは俺好みの女になってもらわないとな。」
 ため息をつくと、電話をしてコンシェルジュに何か頼んでいる。
 ルームサービスの紙を渡されて、何かあるかと聞かれる。
 どれも美味しそう。にまにましていると、また笑い声がして頭を撫でてくる。
 「好きなもの何でも頼んでいいぞ。今日は付き合ってもらったからな。お酒はここにあるので大丈夫か?」
 よく分からないけど、とりあえず頷いておく。

 
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