再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
新田さんは大きなため息をつくと、私を見て話し出した。
「花崎さん。君は誘っても本気になってくれないし、俺が適当に言っていると思われてる節があったから、勝負に出たんだ。付き合えたら絶対気が合う。君も分かっていたと思う。君となら、ゴールを目指した付き合いも出来ると思っていたからね。君の気持ちを聞いていいかい?」
亮ちゃんが右手で私の左手を握ってくる。新田さんを真っ直ぐに見て話した。
「新田さん。私もあなたのこと、今までの他の人よりは前向きに考えようと思っていました。飲みに誘われたときもその時は社交辞令かと思ったけど、営業の同期に新田さんは本気だと思うよと言われて、悪い気はしなかったし、嬉しかったです。おっしゃるとおり、お話するのは楽しいし、打てば響く感じで新田さんのそういう所も素敵だなと思っていました。でも……」
「でも?」
「今回のやり方は正直ショックでした。私も悪かったんだと思いますけど、それでもびっくりしました。」
「ごめん。酒が入って、他の奴らが君のことを誘うと騒ぎ出してこっちも余裕なくなって、牽制したら大きくなってしまった。」
「新田。すまないが、雫は渡せない。」
「貴方に聞いてませんよ、亮さん。で、花崎さん。亮さんとのことだけど。そういう関係なの?」