再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
すると、腕を引いて公園の木の下に入っていく。
「雫。少しだけ……。」
そう言って、私の顎を捉えるとキスをした。
口を開けろと催促され、開けると深いキスに腰が抜けそうになる。
覆い被さるようにキスをされ、一度離れると、はあっと息をする。
するとそれを見てまた……。
かくんと膝が落ちた私を、足の間に膝を入れて支えてくれる。
「雫、愛してる。お前だけだから心配するなよ。」
ベンチに座っている私を横に座った亮ちゃんは両手を握って自分の方に向ける。
「……原田さんだよね。前言っていた彼女。」
亮ちゃんは驚いた顔をして私を見る。そして、頷いた。
「婚約者って言われてるの知ってる?」
「……。」
「知ってるんだね。そうだよね。」
「雫。前も言ったけど、俺にその気はない。いくら力業で来られても絶対頷く気はない。今どうしても忙しいので、彼女のサポートが助かっているのも事実だ。だが、仕事上の関係だけだ。一緒に居る時間が多いから勘違いされているんだ。」
「責める気はないの……。だけど、もっと早く一言欲しかったな。」
「ホントにごめん。こんなに痩せて……。今日はどうしてもお前を捕まえようと決めていたんだ。連絡しても既読にならないし、焦って家の前で張ってたら、新田から連絡があって……。」