再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
「新田さん。甘い、甘すぎる。普段と違いすぎる。何なの。ツンデレ?」
「カスミ君。君は俺のヒミツを見てしまった。他言無用で頼むよ。」
「へー、こりゃ、いい取引材料ができました。」
「君、言うねえ。侮ってたかも知れないな。でも、以前俺のこと彼女に勧めてくれたと聞いたからね。特別だよ。」
「ああ、新田さんが本気かも知れないと伝えたことですか?」
頷く新田さん。
箸をもったまま、うどんを一本ずつすすっている私を見て、「大丈夫か?」と聞いてくれる。
「ね、雫食欲ないの?」
「うん、ここのところ。胃が小さくなっちゃったかも知れない。」
「どこか悪いとか、病院行った方がいいかもよ。」
「そうだな。早めに受診したほうがいいぞ。」
言われてみれば、病院か。考えていなかったけど、少し体調悪い期間が長いかも知れない。
就業時間まで亮ちゃんから連絡はなかった。
家に帰ると、びっくりした。
なんとお姉ちゃんがいたのだ。
「雫ー、会いたかったよ。久しぶり。」
抱きついてきて、ぐりぐりと私の頭をなで回す。
私は背が低いので、お姉ちゃんに抱き込まれる形になってしまうのだ。
実は結構なシスコン。
私に対してお姉ちゃんは昔から過保護。そしてすごく優しい。
かわいがってくれるから、当時も亮ちゃんのこと言い出せなかった。
大好きなお姉ちゃんをがっかりさせたくなかった。
要は亮ちゃんより、お姉ちゃんの方が当時は大事だったんだろうな。今思えば。