再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
「雫ちょっといい?ふたりで話したい。」
夕飯後、私の部屋にふたりで上がる。
「亮ちゃんと大人の付き合いしている?」
やだ、突然なに?
赤くなって下を向いていると、お姉ちゃんが言った。
「突然だけど、アレちゃんと来てる?」
「え?」
「月のもの。生理。」
言われてみればそうだった。ここのところ、具合が悪くて精神的なものもあるからそのせいかと思ってたけど、確かに一ヶ月以上来てないかもしれない。
「お母さんから、雫の状態を見ていて相談されたの。実はね、私五ヶ月入った所なんだ。今日はお父さんに報告しに来たの。お母さんには分かったときに伝えたんだけど、何かあるといけないからお父さんにはもう少ししてから言おうと思って、ごめん、雫にも黙ってた。」
「おめでとう、お姉ちゃん!良かったね。」
お姉ちゃんの両手をつかんで振り回した。
「ありがと。でね、雫のことよ。心当たりありそうね、さっきの様子だと。痩せすぎだよ。食べられないみたいだってお母さん言うし。吐き気は?」
「……ある。ここ最近。今日も会社で同期に病院行けって言われたから考えてたところだったの。」
「お母さんからの電話で一応私の検査薬の残り持ってきたんだ。試してみようよ。」
そういうと、ポケットから細長い棒のようなものを渡された。
使い方を聞いて、早速実践。
部屋でふたりで話しながら、時間が経過して検査薬の結果をみる。
線が見える。
「おめでとう、雫もおそらく妊娠してる。おめでとうと言っていいんだよね?」
検査薬を凝視して、言葉が出ない私を優しく抱き寄せてくれる。
「……お姉ちゃん。しばらくお母さん以外には黙っていてくれる?病院にも行くけど、今亮ちゃんは大事なところなの。妊娠のせいで私と結婚するために会社の大口の取引をなくしたら、経営者一族なんだから迷惑かけちゃう。」
「……雫。それとこれとは関係ない。亮ちゃんだって子供じゃないんだから、責任取るのは当たり前。お父さんが知ったら悲しむよ。それに、最近の亮ちゃんは知らないけど、お父さんとお母さんが雫との交際を許しているということは、亮ちゃんを信用しているってことでしょ。こうなる可能性も含めて許可したはずだよ。」
お姉ちゃんの言うことは逐一ごもっともなんだけど、うんと言えない。