最後の詰みが甘すぎる。
「んっ!?」
平手の代わりに塀に身体を押し付けられ、強引に唇を奪われる。こんなのずるい。反則だ。
やめてといくら胸を叩いて抵抗しても廉璽は唇を離してくれなかった。
腹が立つのに蕩けそうになる身体が憎らしい。
やっとの思いで廉璽を押し返すと、柚歩ははあはあと肩で息をした。
「……俺には柚歩が何を考えているのかわからない」
廉璽は柚歩から剥ぎ取ったグロスを指で拭った。
「俺のことを何とも思っていないのなら最初からそう言って欲しかった」
廉璽はどこか寂しそうに言い残すと棒立ちの柚歩を残して帰ってしまった。
何とも思っていない?処女まで捧げたのに?本当にわからないの?
「好きに決まってんじゃん……。鈍感……!!」
涙を押し殺した柚歩の切なる叫びは、廉璽の耳には永遠に届かなかった。