スウィートメモリー💝
私達もまだ部活があった時。

支度の遅い私と,何故か他の人のように早く帰ることに拘らない,ゆっくりと動く亜季。

その関係を利用して,下校を共にしていたのは他ならぬ私だから。

名付けて『特に意味はないけど,まぁ方向一緒だし何となく帰る事によね』作戦。

心臓がはち切れそうになりながら,度々使っていた作戦だ。

部活が終わってしまってからは,友達の多い亜季を前にどうしようも無かったけれど,決行していて良かったと心から思った。

文句も言わず私が支度を終えるのを待っていた亜季は,帰り道



『喉渇いたから,自販機あるところ,寄り道していい?』



そんな珍しい事を言って。
 
私は目を丸くしたままうんと頷いた。

寄り道と言っても,全く遠くはなくて。

ただ曲がる角を1つ変えただけだった。

そこにあるのは,小さい頃に何度か来たことのある公園。

ただで飲める水を,喉が渇いている割りに亜季は1口だけ喉に流して,私を見た。



『バレンタイン……誰かにあげるの?』
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