スウィートメモリー💝
走って,走って。

折角の髪型や,カバンのチョコを気にして。

始終ハラハラとしていた私は,学校について初めて落ち着くことが出来る。

もう,気付いてたならもっと早く言ってくれればいいのに。

乱れた息から,まず亜衣を思い出した。

私達姉弟は思春期の割りに,いやとても仲がいい。

理由はきっと,全部亜衣にある。

亜衣は中2のくせに,目立った反抗期や私への理不尽なアタリなどは一切無い。

寧ろツンツンしているものの優しいくらいで。

何かあってもすぐに折れるのは亜衣の方で。

暴言を吐かれたこともなければ,蹴られたりしたこともない。

どこか大人な亜衣。

習い事をしていた亜衣と違い,小学校数年だけ学童に通った私に言わせて貰えば。

亜衣は一般的な弟とは言えないと思う。

だって周りの姉弟は……

小さい頃は姉が見栄を張ってやんちゃな弟を叱りつけ,少し大きくなったら殴り合いの喧嘩で負けて『何で言うこと聞かないの』と姉が泣いているような関係だった。

最近は薄々,亜衣はツンデレ属性付属のシスコンなんじゃないかと,ようやく気付いてきたところで……

姉としては少し,なんとも不安である。



「おっはよ!」

「おっはよーぅ」



朝の会と呼ばれる先生の一方的なお知らせを聞き終えて。

ぐでんとする私に声をかけてくれたのは,友達の木下(きのした)あずみ。

中学に上がってからの付き合いだ。
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