スウィートメモリー💝
亜季は,同じクラス·同じ家庭科部の男子。

友達かと聞かれれば,それも少し怪しいけれど。

ほんのたまに,話す仲だ。

頭が良くて,よく笑顔を見せてくれて。

女子にも1番にモテる人。

私も亜季を好きになってしまった1人で,きっかけは去年,初めて同じクラスになった事。

クラスメートの大半は彼を好きらしいと聞き,去年は本当に気が気ではなかった。

いつ誰に告白されてもおかしくない存在,それが日比野亜季。

そんな亜季と,家庭科部で隣になれたことは,本当に奇跡だと思う。

そして……これはナルシストとかではなく。

私は今日,自分がフラれるとは思っていない。

それは少し語弊があるかもしれないけど,成功する確率の方が高い,位には思ってる。

そうでもなくちゃ,そもそもこんな日に告白なんて,小心者の私が出来るわけ無いんだ。

亜衣はそんな私を見越して,確信じみた顔をしていたのかもしれない。

それから,もしフラれてしまっても。

この考えは決して恥ずかしい事じゃない。

その時は,思わせ振りな事を言った亜季が悪いんだからっ。

亜季の言葉と,もうすぐ進学し,同じクラスで過ごせなくなるかもしれない不安があって初めて,私は今日を決意したんだ。

黒板なんて瞳に映してもいない私の記憶は,1週間と少し前まで遡った。
< 9 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop