君に向けたプロトコル
休み時間に『15時には授業が終わります。』と楽にメッセージを送る。すぐに既読になり、『わかった。兄貴を車で拾ってから迎えに行く。15時半までには学校に行ける。』と返信が届いた。
SNSで写真が広まっていることも一緒に伝えようかと思ったが、どうせ帰りに会うので、その時でいいやと楽観的にいた。
放課後、駅で楽を待っていると閲覧用で使っているSNSのアカウントにダイレクトメッセージが届いたとスマホに通知があった。
…DMなんてくれるような友達いないのに…。
恐る恐るSNSのアプリを開くと『マカロンちゃんでしょ?見つけたよ。』と書かれていた。
何これっ。気持ち悪い!!
背筋に冷たいものが走った気がして、ゾッとする。
閲覧用なので私のアカウントに自分の写真なんて一切載せていないし、アカウント名だって本名とはかけ離れたものにしていた。
それなのに何故!?
胃のあたりがきゅうっと縮まり、ざわざわした嫌な感覚が全身に広がる。
恐怖で足を震わせていた一葉の側に一台の見慣れた車が近づき停車すると、
「一葉、お待たせ。」
と、楽が車の後部座席の窓から顔を覗かせた。
きょろきょろと周りに怪しい人物がいないか確認し、声が出せないまま楽のいる後部座席に慌てて乗り込んだ。
運転席には喜くんがいて、バックミラー越しに目が合う。
「一葉ちゃんお帰り。」
喜くんの声に安堵したのか、少しづつ緊張が解けていく。
「た…、ただいま。」
意識してしっかりと声を出さないと声が震えてしまいそうだった。
二人に心配をかけるわけにはいかない。
学校のカバンから手を離すと楽は直ぐに一葉の手を取った。
「うわっ、お前、何でこんなに手が冷たいんだよ。仕方ねぇなぁ。」
そういうと、楽は一葉の手を指で絡めながら自分の手で挟んだ。それをバックミラー越しに気づいた喜くんは黙って微笑んでいた。
「なんでだろ?冷え性だからかな…。あはは。」
上手く笑えてるだろうか…。一葉は頑張ってごまかした。
「それよりごめん、この後、兄貴たちの会社の手伝いになったから一緒にいられないんだ。」
「別に謝ることじゃないよ。夕飯はいらないってことね。」
「まぁ、そうだな。夕飯はいらない…。(なんだよ、もっと寂しがれよ…。)」
「何か言った?」
「…いや、別に。」
「一葉ちゃん、ごめんね、どうしても楽じゃないとダメな仕事があってね…。」
「喜くんまでどうしたの?」
「いや、気にしていないなら、それでいいや。」
二人ともどうしたんだろう??今日って何かある日だったっけ?
二人が楽に突然予定が入ってしまったことに対して、こんなにも申し訳なく思っている理由が一葉にはわからなかった。
自宅の前で車から降りると、なぜか一緒に楽も車から降りた。
「喜くんと仕事なんでしょ?」
「…あぁ。」
仕事なのに、なんで、直ぐに楽は行かないの?
偶然お姉ちゃんに会えるのを狙ってるのかなぁ…。
明らかに玄関の前で時間を稼いでいるのか、そわそわしているように見えた。
「お姉ちゃん帰ってきてるか見てこようか??」
「何で今一華が出てくんだよっ。」
「だって、何か言いたげにしてるから…。」
楽は一葉に一歩近づくと、両手で一葉の顔を包み込んで優しく唇が触れるだけのキスをした。
「じゃぁな。」
そういうと、さっさと助手席に乗り込んで行ってしまった。
…えっ。
キスされた…。
…なっ、なんで!?
突然の出来事だったが、耳まで熱くなり、鏡を見なくても自分の顔が真っ赤になっているのがよくわかった。
SNSで写真が広まっていることも一緒に伝えようかと思ったが、どうせ帰りに会うので、その時でいいやと楽観的にいた。
放課後、駅で楽を待っていると閲覧用で使っているSNSのアカウントにダイレクトメッセージが届いたとスマホに通知があった。
…DMなんてくれるような友達いないのに…。
恐る恐るSNSのアプリを開くと『マカロンちゃんでしょ?見つけたよ。』と書かれていた。
何これっ。気持ち悪い!!
背筋に冷たいものが走った気がして、ゾッとする。
閲覧用なので私のアカウントに自分の写真なんて一切載せていないし、アカウント名だって本名とはかけ離れたものにしていた。
それなのに何故!?
胃のあたりがきゅうっと縮まり、ざわざわした嫌な感覚が全身に広がる。
恐怖で足を震わせていた一葉の側に一台の見慣れた車が近づき停車すると、
「一葉、お待たせ。」
と、楽が車の後部座席の窓から顔を覗かせた。
きょろきょろと周りに怪しい人物がいないか確認し、声が出せないまま楽のいる後部座席に慌てて乗り込んだ。
運転席には喜くんがいて、バックミラー越しに目が合う。
「一葉ちゃんお帰り。」
喜くんの声に安堵したのか、少しづつ緊張が解けていく。
「た…、ただいま。」
意識してしっかりと声を出さないと声が震えてしまいそうだった。
二人に心配をかけるわけにはいかない。
学校のカバンから手を離すと楽は直ぐに一葉の手を取った。
「うわっ、お前、何でこんなに手が冷たいんだよ。仕方ねぇなぁ。」
そういうと、楽は一葉の手を指で絡めながら自分の手で挟んだ。それをバックミラー越しに気づいた喜くんは黙って微笑んでいた。
「なんでだろ?冷え性だからかな…。あはは。」
上手く笑えてるだろうか…。一葉は頑張ってごまかした。
「それよりごめん、この後、兄貴たちの会社の手伝いになったから一緒にいられないんだ。」
「別に謝ることじゃないよ。夕飯はいらないってことね。」
「まぁ、そうだな。夕飯はいらない…。(なんだよ、もっと寂しがれよ…。)」
「何か言った?」
「…いや、別に。」
「一葉ちゃん、ごめんね、どうしても楽じゃないとダメな仕事があってね…。」
「喜くんまでどうしたの?」
「いや、気にしていないなら、それでいいや。」
二人ともどうしたんだろう??今日って何かある日だったっけ?
二人が楽に突然予定が入ってしまったことに対して、こんなにも申し訳なく思っている理由が一葉にはわからなかった。
自宅の前で車から降りると、なぜか一緒に楽も車から降りた。
「喜くんと仕事なんでしょ?」
「…あぁ。」
仕事なのに、なんで、直ぐに楽は行かないの?
偶然お姉ちゃんに会えるのを狙ってるのかなぁ…。
明らかに玄関の前で時間を稼いでいるのか、そわそわしているように見えた。
「お姉ちゃん帰ってきてるか見てこようか??」
「何で今一華が出てくんだよっ。」
「だって、何か言いたげにしてるから…。」
楽は一葉に一歩近づくと、両手で一葉の顔を包み込んで優しく唇が触れるだけのキスをした。
「じゃぁな。」
そういうと、さっさと助手席に乗り込んで行ってしまった。
…えっ。
キスされた…。
…なっ、なんで!?
突然の出来事だったが、耳まで熱くなり、鏡を見なくても自分の顔が真っ赤になっているのがよくわかった。