君に向けたプロトコル
一葉と楽はお互いに誤解も勘違いもわかり、気まずい感じになっていた。『一葉…。二人でちょっと話さないか?』と楽に言われ、一葉の部屋のベッドを椅子代わりに二人並んで座っていた。

「俺、ずっと前から一葉の事が好きなんだ。今度こそ一葉の気持ちを知りたい。」

楽は真剣な表情で一葉をじっと見つめる。

「私、ずっと楽はお姉ちゃんが好きなんだと思ってた。私のこと女の子っぽくないっていつも言ってたし…。」

「女の子っぽくなくても俺が好きなのはお前だ。」

「だから…。好かれるわけないと思ってたから、好きにならない様に頑張っていたの。」

「…不要な頑張りだな。」

次に続く言葉を予想できたのか、少しだけ楽の表情が緩んだ。

「私も楽の事が大好き。」

「だと思ってた!!!」

楽は今までに見せたことのない満面の笑みになると、一葉に飛びつき、ぎゅっときつく抱きしめた。

「俺たち、恋人同士で間違いないか?」

抱きしめられながら耳元で囁く声がくすぐったい。

「うん、恋人同士だね。」

「俺の勘違いじゃない?」

「うん、勘違いじゃない。」

「やった。」

楽は一葉を抱きしめるのを止め、一葉の小さな唇に優しく口付ける。

「てか、周りみんな俺がお前の事好きだって気づいてるのに、何でお前だけ伝わってないんだよ…。」

「だって、いつもお姉ちゃんに会いに来ていたから…。」

「違う、一華じゃなくてお前に会うために来てたんだ…。これからだって…。」

やっと想いが伝わった嬉しさからなのか、楽は何度も何度も一葉にキスをした。


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