君に向けたプロトコル
ドンドンっ!
前川くんと約束した土曜の早朝、一華の部屋のドアを一葉は必死に叩いていた。
「お姉ちゃん!!!助けてーーーっ!」
半分泣き顔の妹の姿をみて何事かと驚く。
「いちよぉ~~、まだ6時だよぉ~~~」
昨晩、遅くまで部屋で海外ドラマを観ていた一華にとって、朝の6時に起こされるなんて、まるで拷問だった。
「今日、友達と出かけることになったんだけど、何を着ていけばいいのかわからないの!!頼れるのはお姉ちゃんしかいないの!!!」
一華は引きこもりでコミュ症の一葉に友達がいたなんて初耳だった。
「あんた、友達いたの?」
「うん、おとといできたの。今日、チョコクラの発売記念イベントに一緒に行くことになったんだけど何を着ていけば人並みなのかがわからなくて…。変な恰好で行って迷惑になるかと思うと、まともな服って制服しか浮かばない!」
「あんた、制服って…。チョコクラのイベントってお兄と喜くんの会社が主催のやつだよね?」
「そう、前にお兄たちが話してたチョコクラのカフェに行く約束をしたの…。」
「で、友達になった女の子ってどんなタイプの服を着てそうな子?被らない様にしないと。」
「えっ?女ん子じゃなくて、友達になったのは男の子。」
「おっ男の子!?あんた、それってデートじゃん!!二人で行くんでしょ!?」
「でっ…デートなんかじゃないよ!!!友達はサッカー部で人気のある高貴な身分のお方だもん。私とはヒエラルキーが…。」
「お兄のイベントに人気者の男子と行くのか…。あれ…?確か今日のイベントって…。」
何やらぶつぶつと一華が考えていた。
「なんだか、面白いことになりそう!お姉ちゃんに任せなさいっ!!!」
一華は片方の口角を上げて少しだけ悪そうな顔をした。
「よくわからないけれどお願いします!!!お姉ちゃん大好き!」
姉は早速、自分のクローゼットを全開にしてまずは一回りサイズの小さな一葉でも着られそうな服をピックアップした。
「靴ってどうせスニーカーしかないんでしょ??」
「スニーカー以外なら学校に履いていくローファーとコンビニ行くとき用のサンダル…ならある。」
「もぉ…、デートの予定があるならもっと早く言ってくれれば買い物行けたのにっ!」
「…だからデートじゃないんだってば。」
一華は一葉の言葉を無視したままピックアップした服をベッドの上で組み合わせを何度か入れ替えると、さっさとコーデを決めた。
「お姉ちゃんありがとう!」
「ありがとうじゃないわよ!顔を洗って服着たらまた戻ってきてよ!化粧と頭が残ってるでしょ!!」
「化粧しないで、いつものヘアスタイルじゃあダメかな…。」
「ダメです。言うこと聞かないなら服貸さないよ。」
一葉は一華の圧に逆らえず、着替えを済ませると一華の部屋に戻り、化粧とヘアスタイルされるがままに身を任せた。
「うん!これでバッチし!」
姿見に移った自分の姿は普段の一葉とはまるで別人だった。
ニーハイソックスは足の長さを引き立て、黒のギンガムチェックのスカートに合わせた黒のタイトなYシャツはシンプルな印象を与えたが、ブルーグレーのパーカーで色味を足した。服装はボーイッシュな印象だがユルふわに仕上げたハーフアップが女の子らしく仕上がっていた。
「お姉ちゃんって天才!ありがとう!」
一華の活躍のおかげで前川くんとの待ち合わせ時間に遅れることなく会場の最寄り駅までたどりついた。
前川くんと約束した土曜の早朝、一華の部屋のドアを一葉は必死に叩いていた。
「お姉ちゃん!!!助けてーーーっ!」
半分泣き顔の妹の姿をみて何事かと驚く。
「いちよぉ~~、まだ6時だよぉ~~~」
昨晩、遅くまで部屋で海外ドラマを観ていた一華にとって、朝の6時に起こされるなんて、まるで拷問だった。
「今日、友達と出かけることになったんだけど、何を着ていけばいいのかわからないの!!頼れるのはお姉ちゃんしかいないの!!!」
一華は引きこもりでコミュ症の一葉に友達がいたなんて初耳だった。
「あんた、友達いたの?」
「うん、おとといできたの。今日、チョコクラの発売記念イベントに一緒に行くことになったんだけど何を着ていけば人並みなのかがわからなくて…。変な恰好で行って迷惑になるかと思うと、まともな服って制服しか浮かばない!」
「あんた、制服って…。チョコクラのイベントってお兄と喜くんの会社が主催のやつだよね?」
「そう、前にお兄たちが話してたチョコクラのカフェに行く約束をしたの…。」
「で、友達になった女の子ってどんなタイプの服を着てそうな子?被らない様にしないと。」
「えっ?女ん子じゃなくて、友達になったのは男の子。」
「おっ男の子!?あんた、それってデートじゃん!!二人で行くんでしょ!?」
「でっ…デートなんかじゃないよ!!!友達はサッカー部で人気のある高貴な身分のお方だもん。私とはヒエラルキーが…。」
「お兄のイベントに人気者の男子と行くのか…。あれ…?確か今日のイベントって…。」
何やらぶつぶつと一華が考えていた。
「なんだか、面白いことになりそう!お姉ちゃんに任せなさいっ!!!」
一華は片方の口角を上げて少しだけ悪そうな顔をした。
「よくわからないけれどお願いします!!!お姉ちゃん大好き!」
姉は早速、自分のクローゼットを全開にしてまずは一回りサイズの小さな一葉でも着られそうな服をピックアップした。
「靴ってどうせスニーカーしかないんでしょ??」
「スニーカー以外なら学校に履いていくローファーとコンビニ行くとき用のサンダル…ならある。」
「もぉ…、デートの予定があるならもっと早く言ってくれれば買い物行けたのにっ!」
「…だからデートじゃないんだってば。」
一華は一葉の言葉を無視したままピックアップした服をベッドの上で組み合わせを何度か入れ替えると、さっさとコーデを決めた。
「お姉ちゃんありがとう!」
「ありがとうじゃないわよ!顔を洗って服着たらまた戻ってきてよ!化粧と頭が残ってるでしょ!!」
「化粧しないで、いつものヘアスタイルじゃあダメかな…。」
「ダメです。言うこと聞かないなら服貸さないよ。」
一葉は一華の圧に逆らえず、着替えを済ませると一華の部屋に戻り、化粧とヘアスタイルされるがままに身を任せた。
「うん!これでバッチし!」
姿見に移った自分の姿は普段の一葉とはまるで別人だった。
ニーハイソックスは足の長さを引き立て、黒のギンガムチェックのスカートに合わせた黒のタイトなYシャツはシンプルな印象を与えたが、ブルーグレーのパーカーで色味を足した。服装はボーイッシュな印象だがユルふわに仕上げたハーフアップが女の子らしく仕上がっていた。
「お姉ちゃんって天才!ありがとう!」
一華の活躍のおかげで前川くんとの待ち合わせ時間に遅れることなく会場の最寄り駅までたどりついた。