お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
「じゃあ、俺もう帰るわ。ゲームの続きしてーし」
そう言って、私が取らなかったエコバッグを強制的に持たせて、くるりと背を向けた。
「じゃーなー。料理失敗すんなよー」
片手をヒョイっと上げたまま、振り返らずに去っていく光瑠くん。
一言多い!!って思ったけど、意地悪なところがいつもの光瑠くんっぽくて、なんだか安心した。
* * *
「ただいま」
ゆうくんの声が聞こえて、一目散に玄関に向かった。
「お帰りなさい、ゆうくん!」
「ん……良い匂い。陽葵が作ったの?」
「うん!ゆうくんの為に頑張っちゃった」
ニッコリ笑顔でそう答えたけど、私は指を組んでモジモジする。
「下手っぴだけど許してね?」
チラッとゆうくんを見ると、視線を逸らして顔を押さえていた。
その表情は全く見えなくて。