お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。

「ちゃんと話聞いてた?」

心配するゆうくんを背に、電車の窓の風景が変わり移るのが見えた。


あ……。

そうだった。


今日はみんなでバーベキューする日だ。


「ごめん、ボーッとしちゃって……」

あはは、と苦笑いを浮かべて窓の方に視線を持っていく。


「途中で飲み物とか買って行くから陽葵も好きなの買いなよ」

「うん、わかった」


いけない、いけない。

今日はバーベキューなんだから楽しまないと。


一線を越えなければ、ゆうくんもいつも通りなんだから。




電車に揺られること数十分。

集合場所の公園まで、また数分バスに乗った。


行く途中で買った物は、全部ゆうくんが持ってくれて。

隣を歩くゆうくんを見つめた。


「ゆうくん重くない?」

「これくらい平気」


そう言ったゆうくんは、両手にある袋を軽々と持ち上げていた。


< 119 / 493 >

この作品をシェア

pagetop