お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
「ちゃんと話聞いてた?」
心配するゆうくんを背に、電車の窓の風景が変わり移るのが見えた。
あ……。
そうだった。
今日はみんなでバーベキューする日だ。
「ごめん、ボーッとしちゃって……」
あはは、と苦笑いを浮かべて窓の方に視線を持っていく。
「途中で飲み物とか買って行くから陽葵も好きなの買いなよ」
「うん、わかった」
いけない、いけない。
今日はバーベキューなんだから楽しまないと。
一線を越えなければ、ゆうくんもいつも通りなんだから。
電車に揺られること数十分。
集合場所の公園まで、また数分バスに乗った。
行く途中で買った物は、全部ゆうくんが持ってくれて。
隣を歩くゆうくんを見つめた。
「ゆうくん重くない?」
「これくらい平気」
そう言ったゆうくんは、両手にある袋を軽々と持ち上げていた。