お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
顔を上げると、ゆうくんは真っ直ぐお母さんを見ていた。
「急だったし、まだ心の準備が出来てないって言うか……陽葵、ずっと悲しそうな顔をしてたんです。そのまま帰すのも後味悪いし、陽葵には笑顔で帰してあげたいんです」
ゆうくんの言葉に胸がキュッとなった。
私、このまま帰りたくないっ……!
「お母さん、お願いっ……!今日1日でいいからゆうくん家に泊まらせて?」
「あらあら」
そう言ってお母さんは困った顔をした。
「うーん……わかったわ。明日の夕方にまた迎えにくるから。陽葵、迷惑かけないのよ?」
「うんっ!お母さんありがとう!」
嬉しくて、私はお母さんに抱きついた。
「この子ったら。祐介くん、悪いけどもう1日お願いするわね」
「はい。ありがとうございます」
出て行くお母さんに、ゆうくんはペコリと頭を下げた。