お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。

嘘だろ……こんな時に……!



気付けば俺は傘をさして外に出ていた。

もう一つの傘を持って。


アパートの階段を降りると、土砂降りの雨が降っていた。


陽葵……どこにいるんだよ……。



ただ闇雲に陽葵の姿を探すしかできない。


ズボンが濡れようが、水溜りに入ろうとが関係無い。

陽葵が雨の中泣いてると思うと、胸が締め付けられるんだ。




近くの公園。

コンビニ。

駅……。



ダメだ。

どこにもいない。



落ちつけ、俺。

落ち着いて考えるんだ。


陽葵の行きそうな場所を。



俺は目を閉じて雨の音だけを耳に入れた。




小さい頃は好奇心旺盛で落ち着きが無い陽葵は、よく両親に怒られていた。


その度に泣いてどこかに行き、俺も一緒になって探した。


< 176 / 493 >

この作品をシェア

pagetop