お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
嘘だろ……こんな時に……!
気付けば俺は傘をさして外に出ていた。
もう一つの傘を持って。
アパートの階段を降りると、土砂降りの雨が降っていた。
陽葵……どこにいるんだよ……。
ただ闇雲に陽葵の姿を探すしかできない。
ズボンが濡れようが、水溜りに入ろうとが関係無い。
陽葵が雨の中泣いてると思うと、胸が締め付けられるんだ。
近くの公園。
コンビニ。
駅……。
ダメだ。
どこにもいない。
落ちつけ、俺。
落ち着いて考えるんだ。
陽葵の行きそうな場所を。
俺は目を閉じて雨の音だけを耳に入れた。
小さい頃は好奇心旺盛で落ち着きが無い陽葵は、よく両親に怒られていた。
その度に泣いてどこかに行き、俺も一緒になって探した。