お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。

どこにいるかわからなくて、陽葵の名前を何度も呼んだ。


見つからなくて、悲しくなり、泣き出しそうになった俺の前に現れたのはお地蔵さんだった。

その隣に小さくなって座る陽葵がいた。


まだ瞳に大粒の涙が残ってる陽葵は、俺にこう言ったんだ


『ここにいるとね、お地蔵さんが助けてくれそうな気がして…お地蔵さん笑ってるでしょ?』



……そうだ。

思い出した!


陽葵、泣いたらいつもそこに行って、元気もらって、謝って、仲直りしてた。


『お母さん達には内緒だよ』


俺だけに教えてくれた、陽葵の秘密。

きっと陽葵はそこにいる。


でもそこは、

実家から少し歩いた所にある小さな神社。


昔の話で本当にそこにいるか確信なんかないのに、無我夢中で電車に乗った。


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