お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
頼れるのは純粋に陽葵を好きだった……子供の頃の俺の記憶。
電車に乗っても落ち着かない俺は、窓の外を眺めた。
こんな大雨の中……陽葵はどんな思いで、どこにいるんだよ……。
くそっ……。
早く、早く着いてくれ……!
どうすれば良いとか、どうしたいとか、
そんなの間違ってる。
大事なのは“陽葵をどうさせたいか”だ。
陽葵の為と思って嘘をつき、悲しませた。
泣いてたら意味がない。
笑ってなきゃ……意味がない。
本当は陽葵を笑わせたいんだ。
俺は、陽葵の笑顔が好きなんだ。
着くまでの時間なんか変わるわけないのに、いつもより数十倍も長く感じた電車を降りて一目散に目的地に向かった。
「いた!」
雨の中、陽葵はやっぱりお地蔵さんの前で座っていた。