お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。

シートベルトをつけて、車を出す準備をするゆうくんの動きをジーッと見つめる。

大きくて綺麗な指が動く。



わっ。


急にドキドキしてきた私は、逃げるように膝に置いている鞄を見つめた。



「ん?どうした?」

心配そうに顔を覗き込んでくるゆうくんにまたドキドキして……悪循環だ。


「な、何でもない」

目が合わせられなくて、そう答えることしか出来なかった私。

たぶん素っ気なかったと思う。


なのにゆうくんは何も言わずに、その大きな手で私の頭を撫でてくれた。


優しくて、安心する。



……。

やっぱり、ゆうくんのこと好きだなぁ。




エンジンをかけると、お店とかでよく聞く流行の曲が流れた。


「さ、行こうか」

「うんっ!」


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