お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
元が可愛いのにあんなに可愛いくしてきたらダメだろ。
ほんと、俺のこと殺しにかかってる。
俺のためにって思ったら嬉しいんだけど、その可愛さを他の人に見られるのは正直嬉しくない。
赤信号で車を止めたとき、チラッと陽葵を見た。
規則正しい小さな寝息を立てる陽葵。
完全に寝てる。
膝の上にはお土産に買ったイルカと鞄が。
そんな無防備な姿も可愛くて……寝息すら愛おしいと思う俺は末期か?
「……」
このまま陽葵を見てると手を出してしまいそうで、真っ直ぐ前を向いて運転に集中することにした。
寝込みを襲ったらとんでもない変態じゃないか。
でも、触れたいと思う俺は……変態、だよなぁ。
はぁぁ、と大きいため息が出る。
急いで帰ろう。
* * *
実家はすぐ隣だけど陽葵の家の前に車を止めた。
エンジンを切り、暗闇で声をかける。