お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
陽葵の身体を拘束しているシートベルトを外して、俺の方へと抱き寄せた。
その瞬間甘い香りがフワリと鼻をかすめ、脳を刺激する。
「っ……」
「ゆう、くん??」
「可愛すぎ」
「え……?」
そのわかってないような声も可愛すぎる。
俺の背中にソッと陽葵の手がまわる。
くっそ、ほんと何もわかってない。
こんな欲望のまま抱きしめる俺に、陽葵は雰囲気に流されるように手を回すんだから。
控えめに回すその手が可愛いを通り越して愛しい。
もう無理、限界。
少しだけ身体を離し、至近距離で陽葵を見つめた。
月明かりに照らされ、車内が少しだけ明るくなると暗闇から陽葵の顔を映し出す。
すぐに視線を逸らした陽葵は、じんわりと顔が赤く染まっていった。
「ゆ、ゆうくん……??」