お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
視線だけ移動させると、そこには隠しきれていない蓮の姿が。
バッチリ目が合う。
スッと陽葵から距離を取ると、蓮の存在に気付いたのか顔を真っ赤にしていた。
脇目も振らず、ただ真っ直ぐ蓮がいる台所に向かう。
「は、はろー……!」
台所で隠れるようにしゃがみ込んだ蓮は俺と目を合わせることが無く、むしろ目が泳いでいた。
と、言うことは……見たと言うわけで。
俺はしゃがみ込み蓮の襟を掴んだ。
「消せ。聞いたもの、見たもの全部」
「ちょ、わかったから。そんな怒んなって」
両手を上げて降参と言わんばかりのポーズを取る蓮に、グッと掴んでいただけの手を緩めた。
その手を無気力にだらんと下に降ろし、蓮から離れる。
「……助かった」
「は?」
「蓮が来なかったら止まってなかった……」