お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
「困った顔するから、何も言えないんじゃねーの?」
「そんな顔してない」
「いやしてる。幼なじみだからこそ祐介のことをよく知ってるはず。だったら……言わねぇだろ。攻めてるみたいじゃん」
蓮がその場に腰を下ろすと、パキッと木の枝が折れる音がした。
「だから1人で我慢して、不安になってんじゃねーの?」
だから最近、陽葵は元気が無いのか?
俺がアツミのところに行くんじゃないかって……。
思い返せばその日からだ。
陽葵が空笑いするようになったのは。
アツミからバイトのことで電話があった、あの日だって……
様子がおかしい陽葵を呼び止めたとき、わりと大きい声を出したはずだった。
止まらない陽葵に聞こえてなかったんだって思った。
ちょうどテレビから笑い声が聞こえたせいで、かき消されたからって。