お兄ちゃん系幼なじみと同居することになりました。
「今日はカレー?」
「見るな」
カゴの中を覗くアツミさんをゆうくんはカートを遠ざけて阻止する。
「一緒に作るの?」
「え?あっ、えっと……」
想像しただけで楽しそうで。
だけど、きっとそんなことは無い気がして、そうだったらいいのになって思う。
「ね、ちょっと陽葵ちゃん借りるね」
「……えっ?」
グイッと腕を引かれて、今にも走り出しそうな勢いのアツミさん。
「え、ちょっと待てよ」
当たり前のようにゆうくんも驚いてて。
「祐介はお金払わないといけないでしょ?近くのケーキ屋にいるから」
なんて言葉を残してゆうくんに背を向けた。
私の腕を掴んでいるアツミさんは、振り向きもせずにお店から出て、少し歩いた所で初めて振り返った。