君とゆっくり恋をする。Ⅱ【第6話完結しました】(短編の連作です)


敏生と鳥山と古川さん。この三人が社員食堂に入ってくると、その場にいた誰もが息を呑んで注目し、空気が一変した。

敏生は見た目でも業務成績でもそのクールさで、会社内では並ぶ者のない有名人。女たらしの鳥山は、自分をカッコよく魅せる技量においては右に出る者はない。そして、常に優しさと柔らかさを端正な顔立ちに湛えている古川さんは、見ているだけで癒される。

いわばこの三人は、この会社のイケメントップ3だ。
この三人が連れだって歩く様はとても壮観で、皆はため息混じりに視線を注いだ。

皆に見られても、古川さんのナチュラルな態度は変わらない。一方で鳥山は、ますます調子に乗ってますます振る舞いがキザになる。

そして、敏生は自分に集まる視線なんかに気づくこともできなかった。
心が落ち着きなくざわめいて、社食特製の日替わりランチもうわの空で頼んでいたらしく、目の前に出されて気づいた。


「それで?芹沢くんの意見を聞かせてもらっていいかな?」


ランチをだいたい食べ終わったとき、古川さんから話を振られて敏生はハッと我に返った。さっきまではあれほど溢れ出ていたアイデアや意見が、何も頭に浮かんでこない。


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