君とゆっくり恋をする。Ⅱ【第6話完結しました】(短編の連作です)
「その合コン相手なんですけどね?うちの総務の子たちらしいですよ?どんな子が来るのかなぁ~、楽しみだなぁ~」
「!!?」
〝総務〟というワードに、敏生の全細胞が反応した。
「なんだって?!」
総務とはいっても、その部署の中にはたくさん女性はいる。だけど、敏生の勘が不穏な空気を感じ取った。
「総務の女の子ですよ。冬にうちの部署にヘルプに来てくれた子に、取りまとめ役を頼んだって言ってました。俺、あんまり覚えてないんスけど、鳥山先輩が誘う子だったら、可愛いに決まってますよね~」
——当たり前だ!!可愛いに決まってる!!!
結乃が言っていた〝先約〟というのはこのことだと、敏生の頭脳は瞬時に一連の出来事の顛末を導き出した。
『彼女みたいなタイプはちょっと強引に迫ってみるといいかもなぁ』
かつて鳥山が言っていた言葉が、敏生の脳裏に響き渡る。
今夜の鳥山は、結乃をターゲットにしているに違いない。
——あんの、鳥山の野郎〜……!!
今にも叫びだしたくなるような衝動にかられて、敏生の全身がプルプルと震えた。
「おっと、もう始まる時間だ、遅れちゃう。それじゃ!」