君とゆっくり恋をする。Ⅱ【第6話完結しました】(短編の連作です)
これは合コンで、打ち解けるためにわざわざアルコールを摂取する。そんなところで一人だけシラフというのも、如何なものだろう。
それに……、敏生は向かいに座る結乃を意識して思った。こんなお洒落な場所で、流石にウーロン茶はカッコ悪いのではないかと…。
「ハイボールをお願いします」
敏生は自ら近くにいた店員を呼び止めて、自ら注文をした。
「カンパーイ!!」
敏生のハイボールが来るのを待って仕切り直しの乾杯をすると、飲んで食べておしゃべりして…、楽しいひとときが始まった。
これを機に敏生と親しくなりたいという願望があるのは、川本だけではない。小池や花田からも、矢継ぎ早に質問される。
「芹沢くんって、どの辺に住んでるのー?」(川本)
「あなたには、(死んでも)教えられません」
「芹沢さんって、血液型はなんですか?」(小池)
「輸血が必要な時だけ、お答えします」
「芹沢さんって、休日はどんなことして過ごしてるんですか?」(花田)
「特に何もしていません」
「えー?趣味とかないんですか?」(小池)
「ありませんね」
「…………」(小池・花田)
女子たちが質問を重ねる度に、どんどん不機嫌な様子になっていく敏生。シラフじゃなくても敏生自身に、ここにいる女子たちと打ち解けようなどという気持ちは全くと言っていいほどなかった。