君とゆっくり恋をする。Ⅱ【第6話完結しました】(短編の連作です)
「鳥山さん、彼女いるんじゃないんですか?いいんですか?他の女の子と遊んだりして」
と、話の矛先を鳥山の方に向けてみたが、鳥山はケロリと言い放った。
「んー、いるにはいるけど、今を楽しむのとは話が別だよ」
「………」
どうしたらそこまで割り切れるのか、敏生には理解不能だった。理解できないことに無責任な相槌を打てるほど、敏生は不誠実な人間にはなれない。
何も言葉を返さない敏生が恐れ入ったと思ったのか、鳥山は優越感に満ちた笑みを浮かべる。
「まあ、興味ないんなら、仕方がないな」
と言いながら敏生に背を向け、軽快な足取りでオフィス内をキョロキョロ見渡しながら遠ざかっていく。
「おい、河合。今晩どうせ暇だろ?女の子たちと飲み会するけど来る?」
「行きます!行くに決まってます!!誰が来るんですか〜?」
どこかから聞こえてくるそんな会話。
敏生は心の中でため息をつきながら頭の中のモードを切り替え、次の仕事に取りかかるべくパソコンを開いた。