【短】蒼くんは私のことを愛したくてたまらない！

「藤堂先輩のこと大して知らなかった。知ろうとしなかった。私のこと知ってもらおうともしなかった。全部中途半端で...。私がやりたかったのは告白＂ごっこ＂だった...」


そう。全部うらやましかっただけ。


女の子たちが色恋の話題で盛り上がっているのを、冷めた目で見てきたけど、きっと心のどこかで妬んでたんだ。


自分はそういうのとは無縁だから。親愛以外受け取ったことないから。


初恋だなんてはしゃいで、きっと...


「誰かに愛してほしかっただけ、なんだよね...」


ぽたぽた落ちていくこの涙も、全部無意味...


自分のやってきたことが馬鹿馬鹿しく思えて蒼くんに抱きついたまましばらく声をあげて泣いた。







「蒼くん、もう大丈夫。ありがとう。それと、ごめんね急に泣いたりして」


段々と冷静さを取り戻してきた私は、蒼くんに改めてお礼を言った。


「ええねん。優奈が困ってたら、俺はいつでも助けにくる」


蒼くんはそう言ってにっこり笑った。