White Snow3  前野晴久の苦悩
居酒屋についた俺たちは、半個室のテーブル席で飲みながら話をした。

大学時代の智花の話も新鮮だったし、俺たちの馴れ初めは話していて少し恥ずかしかった。
梅原さんの福岡支店での話も面白かったし、沢山食べて飲んで笑った。

2時間近くたった頃だろうか。
智花がトイレに立った。

智花は隣に座る俺に一言声を掛け立ち上がる。
「一人で大丈夫?」
「うん。大丈夫」
と言った後、前に座る梅原さんの肩に手を当て、小声で何かを囁いた。

梅原さんは片手をしっしっと払った。

「晴久、気を付けてね」
と意味不明なことを言って智花が席を離れた。


俺は二人だけの独特な態度にイラっとした。



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