お兄ちゃんなんて呼びたくない
笑えていただろうか。

でもきっと、暗かったから分からない。

泣いていようが笑っていようが、暗闇に投じてしまえば一緒だ。

涙を流してしゃくりあげながら、それでも走って走って、家まで帰った。

お母さんに早く帰ってこいって言われたなんて、嘘だ。

今日は遅くまで帰ってこない。

そうじゃなきゃ、まっすぐ家まで帰れない。

それでも泣きながら航お兄ちゃんへのバレンタインを作るのは、最後の悪あがきだろうか。
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