お兄ちゃんなんて呼びたくない
「綿的、それ渡さずに帰るのか?」

学校帰り、門の前で男友達に言われる。

結局朝から航くん……じゃなくて航お兄ちゃんに渡しに行く気にはなれなかった。

「うん。帰って食べるからいいの」

紙袋を軽く持ち上げて言うと、スタスタと近寄ってくる。

「どうしたの、畑石くん」

お互い苗字呼びなのは、畑石くんの名前である翔くんがクラスに3人も勢揃いしているから。

私が苗字で呼ぶから、畑石くんも私のことを苗字で呼ぶのだ。
< 14 / 23 >

この作品をシェア

pagetop