お兄ちゃんなんて呼びたくない
「違うよ。お前が辛そうなのみてると、俺も辛いんだよ」

その目に嘘は見当たらなかった。

ただ真っ直ぐ、私のことを見つめていた。

「でも……」

でもこれは、航お兄ちゃんのために作ったもの。

航お兄ちゃんに喜んでもらいたくて、どれだけ辛くてもあの笑顔は見たくて作ったもの。

どうしよう。

畑石くんに渡すくらいなら、自分で食べた方がいい。
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