郡くんと甘いビターチョコレート



……良いような悪いような、ちょっと複雑。

郡くんが人気なのはわかってるし今更だけど、あの子も郡くんにチョコをあげようとしてるんだって。


ていうかもう今好きなチョコレートを聞いてる時点で、告白みたいなもので。
……私が勇気を出せずうじうじしている間に、郡くんが私以外の誰かのことを好きになってしまったら、といつも怯えている。


だけど、郡くんに直接「どんなチョコレートが好きか」なんて聞く勇気はもちろんないから、彼の返答があの子と同じように待ち遠しい。



……ずるい、私はずるい。わかってる。




「……ごめん、バレンタインなら、受け取らない」


「えっ?」




予想していなかった答えに、私も思わず声が出そうになって口を押さえた。


受け取らない? 受け取らないってことは、嫌いなの?それとも、



「じゃ、じゃあクッキーとかは!?チョコは苦手だった?」



きっとあの子も予想外で、慌てた様子なのが見ずともわかる。

そしてきっと、その後の郡くんの返事は私もあの子も一番聞きたくなかったもの。



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