郡くんと甘いビターチョコレート
「チョコもクッキーも好きだけど、バレンタインは受け取らないようにしてる。ごめん」
心なしか、いつもより少し声の温度が冷たい気がした。
柔らかくゆるい拒絶。明らかな拒絶を、直接言われてもいないのに感じてしまった。
チョコを渡そうとしても、“好き”って伝えても、きっと結果は同じなんだと、それが一瞬でわかってしまった。
「そっか、わかった!」とそれ以上執拗に聞くわけでもなく去っていったあの子を同一視してしまって胸がぎゅうっと苦しくなった。
__苦しい。話す友達がいないとか陰口を言われているとかそんな非ではなく、苦しい。
あの子の勇気にあやかってる私が苦しくなること自体、ずるいのに、胸がぎゅうっとしてたまらない。