郡くんと甘いビターチョコレート
◆甘さに堕ちた
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「……大丈夫?」
エアコンの効いた駅長室のソファーにひとり、腰掛けていた。
寒いとは感じないものの、駅員さんが貸してくれた膝掛けがありがたかった。
外からは見えない奥の部屋で待っているように言われて座っていると、またあの温かい声が頭上から降ってきた。
私を助けてくれた人。同じ制服で同じ高校だってことしか知らないその人にお礼を言わなくちゃ、と意を決して顔を上げてみれば。
「……え」
認識する前に、先に驚いたような声を出したのは向こうだった。
目が合った瞬間、私も相手も驚きでいっぱいになった。
……知っている、人だったから。
向こうもきっと私のことを知ってくれているんだと思う。