COMPLEX
「あぁ~ニキビが出来てます。」

「私もマスクで擦れて、肌荒れがすごいの。佐々木さんも皮膚科受診した方がいいかもね。」

ロッカールームでのこんな会話をまるで関係ないかのように、セッセと制服へと袖を通す。

(そんな程度で肌荒れとか言ってたら、私の肌状態じゃ彼女たちは卒倒するでしょうね)

マスクの下で意地悪く聞こえないように小声で呟いてみた。

佐々木さんの肌荒れは、確かにちょっとのニキビはあるものの、その他の肌はつるつるして
ピンクにちょっと色づいた頬がまるで可憐な薔薇の花のような色なのだ。

(私がいる事を知って、肌荒れの話をするとか、本当に性格悪い人たち・・・)

彼女達が私の肌荒れの具合を知っている。コロナ禍前までは一緒に食事を取っていたからだ。

個人の机で食事を取ることになってから、私の気は大分楽になった。
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