開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その2


その日の夜、和田は三浦邸での打ち合わせ内容を、奈緒子には電話であらかた告げた。

「では…、来週の半ばには”決行”ということですか…。でも三浦さん…、予兆夢はあと一回、まだなんですよね?」

「ええ。国上さんは、その前に予兆夢が来ると予測しててね。…どうやら、2次以降の呪われ手が見る予兆夢はだんだんソフトになってるようなんです」

「ソフトに…、ですか?」

「要するに、くびれ柳の元で発せられる波動エネルギーは”ユルく”なってるってことで、丸島のように根元へ頭から吸い込まれるとこまで行かないうちに目が覚めるとかって、そんな感じらしい。国上さんは元々、この予兆夢は大雨の前の雷という、まさしく呪いモードを予兆させる伏線てきなメッセージだと捉えていたからね」

「…」

「…鬼島は3回にもこだわってるだろうと。鬼島特有の”遊びテイスト”だろうと見てるんですよ」

「ふう…、また彼の”遊び心”ってやつですか…」

この時の奈緒子は文字通りどっとという、タメ息だった。


***



「国上さんがカプセルを引き揚げてきてからは、呪われ手への波動はタメも効かないごく弱いものになっただろうから、三浦美咲の場合も、数日中にさらっと訪れるだろうと見てるんだ」

「まあ、国上さんの見立てなら間違いないでしょうが…」

「それで…、当日は、できれば我々二人も現場に立会って欲しいってことなんですよ。何しろ、鬼島からの一次呪われ手である丸島の経緯を見てきたんで、”今後”の展開を踏まえ、最後まで見届けてもらいたいとね」

「ええ、是非立会わせていただきますよ、私。それで、例のカプセルはどうなんでしょうか?」

「うむ、今話そうかと思ってた。あの夜から国上さんは密閉したガラスケースに入れて念じ祈祷を続けてくれてるらしいんだが…。実は…」

和田は、先ほど国上から告げられた現象について、そのままを奈緒子に伝えた…。





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