開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その3


「じゃあ、その反応の意味するところは、今までくびれ柳と相互に反応し合って、呪われ手に発動していたエネルギーを分断させたってことになるんですか!」

「国上さんはそういう解釈ですよ、奈緒子さん」

「でも、三浦さんのような呪われ手の対象者を担ってる人間への作用は消滅したところまでは、到達していないんですね?」

「奈緒子さん、くびれ柳の現場で国上さんはあの柳の大木自体も、いわく深い気を元々内包していたと言っていました。鬼島はそれを察知して、エネルギー発動のキャッチ・ポイントに選んだんだろうとね…。それだけに、えらくコアなホット・スポットだった訳だから、残存の負気はまだ淀み漂っている。つまり、美咲さんのような立場はこのまま”解放”されることはないだろうと…。しかし…」

ここで奈緒子は和田の口にする続きは察しがついた。


***


「三浦さんの”この先”のソフトな現象で落ち着くだろうと見込んでいるんですね?」

「そうです。アライブのサイトに寄せられる情報でも、その傾向が伺われるそうなんです。鷹山さんには、丸島が辿った”現象”をこと詳細に把握してもらってますからね。その格差が実感できるんでしょう」

奈緒子と和田は、この時点でほぼ同じ認識を有していたようだ。

先日、鬼島の母と水野に会った夜、アライブで国上と鷹山に告げられた希望を帯びた現状が、くびれ柳の根元からカプセルを撤去してきたことで、更にもう一筋明るい光が射してきたと…。

しかし…

”このことは、三浦を救える確率が一段と強くなってきたことに直結した。だが、鬼島の書き残した例の文面には、その先、さらにそのまた先を読んだ手を盛り込んでいるとあった。一体、ヤツはこのソフトランディングの先に、んな仕掛けを…”

こう考えると、和田の心には一点の曇が宿るのだった…。




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