開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その4
三浦美咲の予兆夢3回目は、その4日後訪れた…。
「では、鷹山さんは彼女からも、直に3回目の予兆夢については細かく聞かれたんですね?」
「はい。ほぼ前回と同様でした。特に3回目は丸島さんの見た夢が超ハード版でしたので、かなり格差がありました。鬼島の決めた次第とは言え、まさに通り一遍の感は拭えない。油断はできないが、くびれ柳の波動の強度は、カプセルの撤去で極端なパワーダウンをきたしたと言えますな」
「国上さんの元のカプセルと開けずの手紙は、その後どうなんですか?」
「沈殿…、ですね。カプセルの中が燃えた後の黄色い煙とかも消え、まあ国上さんの解釈では、中和作用で対外に負気は発していいと…。ただし、消滅はしていないし、今密閉ケースから出せば、かなり強い負気が発し、然るべきエネルギーと相互作用を起こす。もっとも、念じ祈祷の継続で部分消滅は成しているようですが…」
「何とも微妙なラインですね(苦笑)。自分なんかはどう捉えたらいいのか…」
これは和田の偽らざる思いそのままだった…。
***
「少なくとも、禍々しい負のエネルギーとその”作用相手”を隔離したことは確かですから。この状態で、三浦さんを呼び寄せ夢から引き戻す作業が施せるのは、格好の機には違いありませんよ」
「ええ、そうは思うのですが…」
和田のこの歯切れの悪さが何ゆえなのか…、他ならぬ鷹山には、はっきりわかっていた。
”そうさ…、三浦さんを呼び寄せ夢で呪いのレールに乗せることを阻止したとして、鬼島が果たして、その先に何を用意しているのか…。気は抜けない…”
この夜電話で交わされた、鷹山と和田の会話は重々しい空気が漂っていた感は否めなかった。
***
「じゃあ、予定を前倒しで、明日から彼女の家に張り付きですね?」
「そうなります。三浦さんには断眠を決行してもらい、国上さんは彼女の夢の中まで電流による刺激と言葉での問いかけによって、呼び寄せ夢が現れたら、夢の中に持って行かれないよう誘導します。その間、私は国上さんの堂でカプセルと開けずの手紙を監視しています」
「私も奈緒子さんと交代で彼女のそばには寄り添いますので。お互い何か生じれば、リアルタイムでやり取りですね…」
「ええ。お互い、頑張りましょうや。鬼島の挑発に乗った同志ということで。…丸島さんの為にも」
かくて、三浦美咲を鬼島の創りあげた呪いのスキームから救い出す為の、彼らの挑戦はついにそのクライマックスを迎えようとしていた…。
三浦美咲の予兆夢3回目は、その4日後訪れた…。
「では、鷹山さんは彼女からも、直に3回目の予兆夢については細かく聞かれたんですね?」
「はい。ほぼ前回と同様でした。特に3回目は丸島さんの見た夢が超ハード版でしたので、かなり格差がありました。鬼島の決めた次第とは言え、まさに通り一遍の感は拭えない。油断はできないが、くびれ柳の波動の強度は、カプセルの撤去で極端なパワーダウンをきたしたと言えますな」
「国上さんの元のカプセルと開けずの手紙は、その後どうなんですか?」
「沈殿…、ですね。カプセルの中が燃えた後の黄色い煙とかも消え、まあ国上さんの解釈では、中和作用で対外に負気は発していいと…。ただし、消滅はしていないし、今密閉ケースから出せば、かなり強い負気が発し、然るべきエネルギーと相互作用を起こす。もっとも、念じ祈祷の継続で部分消滅は成しているようですが…」
「何とも微妙なラインですね(苦笑)。自分なんかはどう捉えたらいいのか…」
これは和田の偽らざる思いそのままだった…。
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「少なくとも、禍々しい負のエネルギーとその”作用相手”を隔離したことは確かですから。この状態で、三浦さんを呼び寄せ夢から引き戻す作業が施せるのは、格好の機には違いありませんよ」
「ええ、そうは思うのですが…」
和田のこの歯切れの悪さが何ゆえなのか…、他ならぬ鷹山には、はっきりわかっていた。
”そうさ…、三浦さんを呼び寄せ夢で呪いのレールに乗せることを阻止したとして、鬼島が果たして、その先に何を用意しているのか…。気は抜けない…”
この夜電話で交わされた、鷹山と和田の会話は重々しい空気が漂っていた感は否めなかった。
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「じゃあ、予定を前倒しで、明日から彼女の家に張り付きですね?」
「そうなります。三浦さんには断眠を決行してもらい、国上さんは彼女の夢の中まで電流による刺激と言葉での問いかけによって、呼び寄せ夢が現れたら、夢の中に持って行かれないよう誘導します。その間、私は国上さんの堂でカプセルと開けずの手紙を監視しています」
「私も奈緒子さんと交代で彼女のそばには寄り添いますので。お互い何か生じれば、リアルタイムでやり取りですね…」
「ええ。お互い、頑張りましょうや。鬼島の挑発に乗った同志ということで。…丸島さんの為にも」
かくて、三浦美咲を鬼島の創りあげた呪いのスキームから救い出す為の、彼らの挑戦はついにそのクライマックスを迎えようとしていた…。