開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その12
国上は奈緒子と美咲の顔を交互させ、ちょっと笑顔を繕ってから、穏やかな口調で答えた。
「奈緒子さんの考える通りだと思う。厳密にはまだ残存エネルギーは浮遊していても、もうあのくびれ柳を波動のキャッチポイントとして機能させることは叶わないでしょう」
「では、美咲さんのように、今まさに開けずの手紙を受け取って怯えおののいてる人も、もう呪いはかけられないということですね?」
「まあ、すでに手紙を読んで事実上呪いが発行された場合などは微妙だが、これ以降はあのくびれ柳での呼び寄せ夢はないと…。今日、帰りがけにはK高校に寄って確認はしてきますので…」
奈緒子は思わず美咲に顔をむけ、にっこり笑みを交わ合った。
***
”丸島…、奈緒子さん…、よくやってくれたよ。彼女がお前の無念を汲んで、女子生徒を鬼島の呪いから救った。高校教師として、他行の女子生徒を…。彼女は教師としても立派だったよ…”
午前7時半すぎ…、和田の元へその一報が奈緒子から届いた時、和田はあふれる涙を止めることができなかった。
”おそらく昨夜の数時間が壮絶極まる修羅ばっだたに違いない…。間違いなく、対応を間違えば鬼島から三浦美咲を取り戻せなかったはずだ。みんな、よく頑張ってくれた。ありがとう…”
まさに和田の気持ちは、この言葉に尽きていた。
『では、手嶋先生には私から…』
「ええ、お願いします。自分は予定通り、9時過ぎには三浦家にに伺って、と国上さんに合流します。そのあとのことは、逐次、報告しますから。奈緒子さんは家に帰って、ゆっくり休んでsください。本当にご苦労様でしてね、奈緒子さん…」
『和田さん…』
この二人にとって、この瞬間は、間違いなく鬼島との対決を終えたことを確認しあった場ではあった。
だが、和田と奈緒子の胸中には、共通した一抹の懸念は完全に拭いきれていなかった。
それは…。
”これで本当に鬼島則人の挑んだゲームは終わったのか…”
国上は奈緒子と美咲の顔を交互させ、ちょっと笑顔を繕ってから、穏やかな口調で答えた。
「奈緒子さんの考える通りだと思う。厳密にはまだ残存エネルギーは浮遊していても、もうあのくびれ柳を波動のキャッチポイントとして機能させることは叶わないでしょう」
「では、美咲さんのように、今まさに開けずの手紙を受け取って怯えおののいてる人も、もう呪いはかけられないということですね?」
「まあ、すでに手紙を読んで事実上呪いが発行された場合などは微妙だが、これ以降はあのくびれ柳での呼び寄せ夢はないと…。今日、帰りがけにはK高校に寄って確認はしてきますので…」
奈緒子は思わず美咲に顔をむけ、にっこり笑みを交わ合った。
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”丸島…、奈緒子さん…、よくやってくれたよ。彼女がお前の無念を汲んで、女子生徒を鬼島の呪いから救った。高校教師として、他行の女子生徒を…。彼女は教師としても立派だったよ…”
午前7時半すぎ…、和田の元へその一報が奈緒子から届いた時、和田はあふれる涙を止めることができなかった。
”おそらく昨夜の数時間が壮絶極まる修羅ばっだたに違いない…。間違いなく、対応を間違えば鬼島から三浦美咲を取り戻せなかったはずだ。みんな、よく頑張ってくれた。ありがとう…”
まさに和田の気持ちは、この言葉に尽きていた。
『では、手嶋先生には私から…』
「ええ、お願いします。自分は予定通り、9時過ぎには三浦家にに伺って、と国上さんに合流します。そのあとのことは、逐次、報告しますから。奈緒子さんは家に帰って、ゆっくり休んでsください。本当にご苦労様でしてね、奈緒子さん…」
『和田さん…』
この二人にとって、この瞬間は、間違いなく鬼島との対決を終えたことを確認しあった場ではあった。
だが、和田と奈緒子の胸中には、共通した一抹の懸念は完全に拭いきれていなかった。
それは…。
”これで本当に鬼島則人の挑んだゲームは終わったのか…”