開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
くびれ柳の木
くびれ柳の木
昼休み…、丸島は図書室に赴いていた。
ネットでのチェックの他、どうしても書物での調べは経ておきたかったのだ。
で…、手元には数冊の超常現象や霊現象の書籍が積まれていた。
「丸島先生…、こんにちわ」
「ああ、こんにちわ」
そこへ、去年担任を受け持った女子生徒二人が寄ってきた。
「先生…、今朝、若い女の人と電車乗ってましたよね?今ミユキと、あれ誰だったんだろうって噂してたんですよ」
「なんか私、その女性どこかで見たことあるような気もして…。他の学校の先生かなって…」
「正解だよ。○○高校の英語教師をやってる」
「えー!そんな若い先生とどういうカンケーなんですか、丸島先生は」
「娘だよ」
「!!!」
「アハハハ…、アキヨ、だから言ったでしょ。丸島先生に限って、朝から口説きとかはないって…」
「でも…、親子にしては、どこかお互い照れ合ってるような会話って見えたんですがね…」
丸島はしきりにこぼれ笑いをしていた。
”まあ、そういうふうに見えるのか…。オレたち父娘はまだ…。アカリにこの話したら吹き出すだろうな(苦笑)”
***
「ああ、ところで先生、私たちの卒業ん時にタイムカプセル埋める案出そうと思うんですけど、そしてら賛成してもらえますかね?一応、大体の先生の腹つもりは把握しておこうと思うので…」
「タイムカプセルか…。まあ、いいんじゃないのか、そのくらい…。誰か反対してるのか?」
「結構、反対意見多い感じなんです」
「そうなのか…。なにか理由ってあるのかな」
「ほかの学校とかでも、毎年土掘って埋めてまた取り出すとき掘るから、植樹のまわりでずっと続けてきたところでは、なんか、倒木した実例があるそうなんです。それで、樹木とかのそばはNGとかって…」
「!!!」
この女子生徒の話で、丸島はピンときた。
***
”そうだ!夢に出てきたあの柳…。どこかの学校の校庭で見た柳の木だ…。確か、木の上部がニョロって曲がってた。うん…、確かくびれ柳とかって…。どこの学校だったかは思い出せないが… ”
この後、丸島は帰宅すると、サイドボードから今まで赴任した格好の数十冊ある卒業アルバムにざっと目を通してみた。
無論、校庭に植わっている一本の木が卒アルに写っている可能性は少ないことを承知で…。
”要はイメージの連想だ。ここの学校ではこういうことがった、こんなっだってとこから、つながりで記憶が引っかかってくるかもしれない…”
そして、机に向って10冊ほどと格闘してる最中、彼はふと気づいた。
「そうか!なぜ気が付かったんだ!」
丸島は思わず声を出してそうつぶやいた。
”あの夢…、最初に見たのは鬼島との記憶が突然浮かんだ日だった。となれば、あの夢は鬼島関連だ。そうさ…、アイツの通ってたH高校だ。だんだん思い出してきたが、あそこの高校はやけに植樹が多かったような気がする。その中の一本がくびれ柳の木だ…”
そんなことを頭の中で浮かべていると、机の上のスマホが着信を知らせた。
”和田だ…!”
***
「もしもし…、オレだ」
「ああ、丸島、もう家か?」
「うん」
「まず、コピーは受け取った。相談先はピックアップできたんで、早速明日にでも、そのサイトの管理会社に行ってこようと思うんだが、丸島の意見を聞いてからと思ってな」
丸島はその”フューチャーランド”という、超常現象お悩み相談室系のサイトを運営している会社を選んだ理由を尋ねた。
「なるほど…。要は霊現象で悩む人から個別のケースを聴取して、コンサルティングの上、それぞれに適した霊能者なり解決の道筋をアドバイス・斡旋してくれるってことなんだな」
「そうだ。何しろ、鬼島の手紙はその念の深さがかなりのレベルってことを前提にして、下相談を持ち込む。例の血のり付きの現物は持参せずに。まあ、顔を合わせていろいろ話して、これ、パスかなって思ったらその時点で引き揚げてくるよ。まずはそれでどうだ?」
「ああ、オレはそれでいい。こっちもいろいろ見てみてが、正直、絞り切れないしな。今日、図書館でも何冊か読んで、一般論ならふんふんと頷くが、こと、今目の前にある自分のケースではどうってとこには行きつかないし…」
「よし、じゃあ、明日の夕方でアポとって出向こう。連絡はリアルタイムで入れたいから、ラインとケータイはスタンバっててくれ」
「わかった」
「それで、ほかに変わったこと、何かあったか?」
「ああ。夢だ」
「夢…?」
昼休み…、丸島は図書室に赴いていた。
ネットでのチェックの他、どうしても書物での調べは経ておきたかったのだ。
で…、手元には数冊の超常現象や霊現象の書籍が積まれていた。
「丸島先生…、こんにちわ」
「ああ、こんにちわ」
そこへ、去年担任を受け持った女子生徒二人が寄ってきた。
「先生…、今朝、若い女の人と電車乗ってましたよね?今ミユキと、あれ誰だったんだろうって噂してたんですよ」
「なんか私、その女性どこかで見たことあるような気もして…。他の学校の先生かなって…」
「正解だよ。○○高校の英語教師をやってる」
「えー!そんな若い先生とどういうカンケーなんですか、丸島先生は」
「娘だよ」
「!!!」
「アハハハ…、アキヨ、だから言ったでしょ。丸島先生に限って、朝から口説きとかはないって…」
「でも…、親子にしては、どこかお互い照れ合ってるような会話って見えたんですがね…」
丸島はしきりにこぼれ笑いをしていた。
”まあ、そういうふうに見えるのか…。オレたち父娘はまだ…。アカリにこの話したら吹き出すだろうな(苦笑)”
***
「ああ、ところで先生、私たちの卒業ん時にタイムカプセル埋める案出そうと思うんですけど、そしてら賛成してもらえますかね?一応、大体の先生の腹つもりは把握しておこうと思うので…」
「タイムカプセルか…。まあ、いいんじゃないのか、そのくらい…。誰か反対してるのか?」
「結構、反対意見多い感じなんです」
「そうなのか…。なにか理由ってあるのかな」
「ほかの学校とかでも、毎年土掘って埋めてまた取り出すとき掘るから、植樹のまわりでずっと続けてきたところでは、なんか、倒木した実例があるそうなんです。それで、樹木とかのそばはNGとかって…」
「!!!」
この女子生徒の話で、丸島はピンときた。
***
”そうだ!夢に出てきたあの柳…。どこかの学校の校庭で見た柳の木だ…。確か、木の上部がニョロって曲がってた。うん…、確かくびれ柳とかって…。どこの学校だったかは思い出せないが… ”
この後、丸島は帰宅すると、サイドボードから今まで赴任した格好の数十冊ある卒業アルバムにざっと目を通してみた。
無論、校庭に植わっている一本の木が卒アルに写っている可能性は少ないことを承知で…。
”要はイメージの連想だ。ここの学校ではこういうことがった、こんなっだってとこから、つながりで記憶が引っかかってくるかもしれない…”
そして、机に向って10冊ほどと格闘してる最中、彼はふと気づいた。
「そうか!なぜ気が付かったんだ!」
丸島は思わず声を出してそうつぶやいた。
”あの夢…、最初に見たのは鬼島との記憶が突然浮かんだ日だった。となれば、あの夢は鬼島関連だ。そうさ…、アイツの通ってたH高校だ。だんだん思い出してきたが、あそこの高校はやけに植樹が多かったような気がする。その中の一本がくびれ柳の木だ…”
そんなことを頭の中で浮かべていると、机の上のスマホが着信を知らせた。
”和田だ…!”
***
「もしもし…、オレだ」
「ああ、丸島、もう家か?」
「うん」
「まず、コピーは受け取った。相談先はピックアップできたんで、早速明日にでも、そのサイトの管理会社に行ってこようと思うんだが、丸島の意見を聞いてからと思ってな」
丸島はその”フューチャーランド”という、超常現象お悩み相談室系のサイトを運営している会社を選んだ理由を尋ねた。
「なるほど…。要は霊現象で悩む人から個別のケースを聴取して、コンサルティングの上、それぞれに適した霊能者なり解決の道筋をアドバイス・斡旋してくれるってことなんだな」
「そうだ。何しろ、鬼島の手紙はその念の深さがかなりのレベルってことを前提にして、下相談を持ち込む。例の血のり付きの現物は持参せずに。まあ、顔を合わせていろいろ話して、これ、パスかなって思ったらその時点で引き揚げてくるよ。まずはそれでどうだ?」
「ああ、オレはそれでいい。こっちもいろいろ見てみてが、正直、絞り切れないしな。今日、図書館でも何冊か読んで、一般論ならふんふんと頷くが、こと、今目の前にある自分のケースではどうってとこには行きつかないし…」
「よし、じゃあ、明日の夕方でアポとって出向こう。連絡はリアルタイムで入れたいから、ラインとケータイはスタンバっててくれ」
「わかった」
「それで、ほかに変わったこと、何かあったか?」
「ああ。夢だ」
「夢…?」