開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
行動を開始した友人
≪画像が届いた。夢の中の柳に間違いないんだな?≫
≪ああ、感覚的にだが。ただ、土の掘り起こしとか盛り上がりは全く見受けられなかった。それと、昨夜はその夢、見なかったよ≫
≪わかった。今日、先方へは6時に出向くことになってる。この画像も見せて、夢の話しもしてくる。そっちには、その場から連絡を入れると思う≫
≪承知した。手間かけてすまん≫
≪いや。せっかく奈緒子さんとリカちゃんが来てるんだから、丸島はなるべく一緒にいてやれ≫
≪ありがとう、和田…≫
≪じゃあ、また夕方≫
H高校を出て、勤務先の学校へ向かう電車の中で、丸島は早速ラインで和田に報告を入れた。
くびれ柳の画像を添えて…。
***
その日の2時間目が終わった後、職員室に戻った丸島は、隣の席に座っていた同僚の女性教師、佐々木ユリに話しかけた。
「ああ、佐々木先生、3年の女子から卒業記念にタイムカプセルを校庭に埋めたいような話を聞いたんですが…」
「ええ、私も先週、3年生から打診されました。自分は別に問題ないかなと言ったんですが…」
「私もです。でも、結構反対する人もいるとか…。何でも長年記念樹の根元にタイムカプセルを埋めてたり、それを掘り起こしたりを繰り返し、倒木した学校もあったそうで…。その学校、都内とか、この辺りなんですかね?」
「いえ、私は存じません。古賀先生は又聞きレベルでは知っていたそうですが、具体的にどこの学校かはわからないと言ってましたよ」
「そうですか…」
”やはり、噂程度ってとこか…。少なくとも、H高のくびれ柳は倒れていなかった。そんな形跡も…。そうなると、夢の中の倒木は、何を意味してるものなのか…”
丸島は、あの夢に誘導したのは間違いないであろう、自分を逆恨みする鬼島則人の”意図”を図りかねていた…。
***
夕方5時半過ぎ…。
JRの都心部某駅に降り、和田は”目的地”に向かって歩いていた。
「ああ、このビルだ。オフィスは4階か…」
彼が訪れたのは、超常現象・都市伝説系のサイトを運営するアライブという会社だった。
エレベーターを降りると、すぐ目の前の玄関戸に”アライブ”の4文字があった。
”ピンポーン!”
とても最新式とは思えない単なるピンポンチャイムをひと押しすると、数秒して目の前の鉄製扉は開いた。
「はい、どちら様ですか?」
「今日6時に、鷹山さんとこちらで約束を取れせていただいた、和田と申します…」
「ああ、和田さんですね。どうぞ…」
和田は玄関口で靴を脱いで中に入ると、狭いがこぎれいな接客スペースに通された。
「いやあ、わざわざおいでいただいてすいません。私が鷹山です」
30代くらいの、あごひげを蓄えた鷹山はかなりがっちりした体格で、体育教師の和田よりも大柄だった。
***
「狭くて恐縮ですが、まあ、おかけください」
「では、失礼します。早速ですが、メールで入れた件のご相談になります。まず、例の手紙類の写しを一式を持参してきましたので…」
和田は、バッグから2通の手紙のコピーをとりだし、鷹山の前に差し出した。
「それが私の友人である丸島の元に、鬼島という元教え子から送られてきた最初の三通と、こちらから内容証明で送達した”返事”です。それで…、これが今回届いたものになります」
鷹山はひと通り、”それら”を手に取って確認したあと、一旦すべてをテーブルに並べ、和田に向かって言った。
「それじゃあ、先にこの3通から拝見させてもらいますか…」
そう言って、鷹山は届いた順に鬼島の手紙のコピーへと目を通した。
「なうほど‥。それで、この”3年目”のあとに、こちらの返事を先方へ送ったと…」
「そうです」
鷹山は丸島が送った鬼島への”返事”を手にして、まさに熟読しているようだった。
「…要するに、この後約2年半近く彼からは何も届かず、音無しだった訳ですね。それで、今週の月曜日に、都合4通目が送られてきたと…。ところが、その送り主は4日前の金曜日に自殺していて、もうこの世にはいなかった…」
「ええ、そうなりますよ、鷹山さん…」
和田はここで、”最後の手紙”のコピーを手にしていた鷹山の表情がやや硬くなっていたのを見逃さなかった。
≪画像が届いた。夢の中の柳に間違いないんだな?≫
≪ああ、感覚的にだが。ただ、土の掘り起こしとか盛り上がりは全く見受けられなかった。それと、昨夜はその夢、見なかったよ≫
≪わかった。今日、先方へは6時に出向くことになってる。この画像も見せて、夢の話しもしてくる。そっちには、その場から連絡を入れると思う≫
≪承知した。手間かけてすまん≫
≪いや。せっかく奈緒子さんとリカちゃんが来てるんだから、丸島はなるべく一緒にいてやれ≫
≪ありがとう、和田…≫
≪じゃあ、また夕方≫
H高校を出て、勤務先の学校へ向かう電車の中で、丸島は早速ラインで和田に報告を入れた。
くびれ柳の画像を添えて…。
***
その日の2時間目が終わった後、職員室に戻った丸島は、隣の席に座っていた同僚の女性教師、佐々木ユリに話しかけた。
「ああ、佐々木先生、3年の女子から卒業記念にタイムカプセルを校庭に埋めたいような話を聞いたんですが…」
「ええ、私も先週、3年生から打診されました。自分は別に問題ないかなと言ったんですが…」
「私もです。でも、結構反対する人もいるとか…。何でも長年記念樹の根元にタイムカプセルを埋めてたり、それを掘り起こしたりを繰り返し、倒木した学校もあったそうで…。その学校、都内とか、この辺りなんですかね?」
「いえ、私は存じません。古賀先生は又聞きレベルでは知っていたそうですが、具体的にどこの学校かはわからないと言ってましたよ」
「そうですか…」
”やはり、噂程度ってとこか…。少なくとも、H高のくびれ柳は倒れていなかった。そんな形跡も…。そうなると、夢の中の倒木は、何を意味してるものなのか…”
丸島は、あの夢に誘導したのは間違いないであろう、自分を逆恨みする鬼島則人の”意図”を図りかねていた…。
***
夕方5時半過ぎ…。
JRの都心部某駅に降り、和田は”目的地”に向かって歩いていた。
「ああ、このビルだ。オフィスは4階か…」
彼が訪れたのは、超常現象・都市伝説系のサイトを運営するアライブという会社だった。
エレベーターを降りると、すぐ目の前の玄関戸に”アライブ”の4文字があった。
”ピンポーン!”
とても最新式とは思えない単なるピンポンチャイムをひと押しすると、数秒して目の前の鉄製扉は開いた。
「はい、どちら様ですか?」
「今日6時に、鷹山さんとこちらで約束を取れせていただいた、和田と申します…」
「ああ、和田さんですね。どうぞ…」
和田は玄関口で靴を脱いで中に入ると、狭いがこぎれいな接客スペースに通された。
「いやあ、わざわざおいでいただいてすいません。私が鷹山です」
30代くらいの、あごひげを蓄えた鷹山はかなりがっちりした体格で、体育教師の和田よりも大柄だった。
***
「狭くて恐縮ですが、まあ、おかけください」
「では、失礼します。早速ですが、メールで入れた件のご相談になります。まず、例の手紙類の写しを一式を持参してきましたので…」
和田は、バッグから2通の手紙のコピーをとりだし、鷹山の前に差し出した。
「それが私の友人である丸島の元に、鬼島という元教え子から送られてきた最初の三通と、こちらから内容証明で送達した”返事”です。それで…、これが今回届いたものになります」
鷹山はひと通り、”それら”を手に取って確認したあと、一旦すべてをテーブルに並べ、和田に向かって言った。
「それじゃあ、先にこの3通から拝見させてもらいますか…」
そう言って、鷹山は届いた順に鬼島の手紙のコピーへと目を通した。
「なうほど‥。それで、この”3年目”のあとに、こちらの返事を先方へ送ったと…」
「そうです」
鷹山は丸島が送った鬼島への”返事”を手にして、まさに熟読しているようだった。
「…要するに、この後約2年半近く彼からは何も届かず、音無しだった訳ですね。それで、今週の月曜日に、都合4通目が送られてきたと…。ところが、その送り主は4日前の金曜日に自殺していて、もうこの世にはいなかった…」
「ええ、そうなりますよ、鷹山さん…」
和田はここで、”最後の手紙”のコピーを手にしていた鷹山の表情がやや硬くなっていたのを見逃さなかった。