開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その5


その日の夜、奈緒子のケータイに和田から電話がかかってきた。

「和田さん…、ご無沙汰してます」

「いや、突然すいません。今いいですか?」

「はい。こちらからも連絡入れようかと思っていましたし…」

和田はどうやら苦笑いしているようだった。
そう…、奈緒子は和田の”用件”を承知していたのだ。


***


「…夕方、手嶋からは聞きました。先週自殺した子と同じ学年の女子生徒が日曜日に首を吊って、これから通夜だと…」

”そうか…。あの後手島先生、和田さんに話してくれたんだ…”

「そうですか…。手嶋先生、さすがにショックだったようです。前の学校の生徒二人がこんな立て続けになんでって…。そう思われてたでしょうから…」

「ええ。立て続けすぎます。でも、これと同じような”自殺の連打”は他の中学や高校でも起こっている。…この件で奈緒子さん、近いうちに一度会えませんか?」

「はい。…でも和田さん、これって、やはり…」

ここで奈緒子の声はワンオクターブ上がっていた。


***


対して、和田の声は低くゆっくりとした口調で返ってきた。

「僕はそう見てます。週末、例の公園でどうです?そこであなたにお見せしたいものがあるんです」

「わかりました。土曜日いかがですか?夕方3時くらいとか…」

「では、土曜午後3時ということで…」

この日は5分程度で話は終わったが、奈緒子にとって、それは短いながらに、とてもディープな会話であったに違いない。

”やっぱり、和田さんも私と同じことを考えてるわ…!”

スマホを手にしながらの奈緒子その表情は、どこかまなじりを決しているかのようだった…。




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