開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
漆黒色の予期
その1
「まずは奈緒子さん…、これを見てもらえるかな」
そう言って、和田は手にしたカバンからクリアファイルをとり出すと、まずその中に入っている紙面類のうち、”封を開けていない”状態の定型サイズの封筒を奈緒子に手渡した。
「和田さん、これって…」
奈緒子は手にした未開封の封筒を数度、裏表返しながら確認している最中、思わずすっとんきょな声をあげてしまった。
「うん…。宛先に届かず戻ってきた”開かずの手紙”だ。血のりなしの状態で…。その現物はアライブの鷹山さんから借りてきたもので、同じ差出人の”それ”は他に3通あった。それでその手塚裕美という女子高生だった差出人は先月電車に飛びこんで自殺した‥」
「…」
奈緒子はここまでで。概ね、その意味するところを理解してしまった…。
***
「鷹山さんとこには、例のサイトを見たその少女のお兄さんから持ちこまれたそうだ。もしや、開かずの手紙ではないかと…。何しろ自殺した直後に戻ってきたし、その住所も実在しないと気づいた。ただ、宛名に記された4人は妹のスマホに登録されていたんだ。おそらく友達だろう」
「中身は確認されたんですか?」
和田は大きく頷いてから答えた。
「鷹山さんがお兄さんに了解を取った上でね。これが、中に入っていた手紙のコピーだよ」
奈緒子に渡された手紙のコピーは”白紙”だった…。
***
「何も書かれてなかってことですか?それとも…」
「鷹山さんと国上さんの見解は”後者”です。書いた文字が消えた…。お父さんの丸島が残した、水野さんに宛てた手紙の写しには自筆の文言が入っていましたし…。ただ、丸島が鬼島から受け取った手紙はまだ未開封のままなので、中の現物が白紙かどうかは確認してませんが…」
「和田さん…、今そちらが捉えている範囲の見解を教てもらえますか?」
「わかりました。奈緒子さん…」
二人は目と目をぶつけ合って、”再確認”し合った。
この先へともに進む踏み絵を…。
「まずは奈緒子さん…、これを見てもらえるかな」
そう言って、和田は手にしたカバンからクリアファイルをとり出すと、まずその中に入っている紙面類のうち、”封を開けていない”状態の定型サイズの封筒を奈緒子に手渡した。
「和田さん、これって…」
奈緒子は手にした未開封の封筒を数度、裏表返しながら確認している最中、思わずすっとんきょな声をあげてしまった。
「うん…。宛先に届かず戻ってきた”開かずの手紙”だ。血のりなしの状態で…。その現物はアライブの鷹山さんから借りてきたもので、同じ差出人の”それ”は他に3通あった。それでその手塚裕美という女子高生だった差出人は先月電車に飛びこんで自殺した‥」
「…」
奈緒子はここまでで。概ね、その意味するところを理解してしまった…。
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「鷹山さんとこには、例のサイトを見たその少女のお兄さんから持ちこまれたそうだ。もしや、開かずの手紙ではないかと…。何しろ自殺した直後に戻ってきたし、その住所も実在しないと気づいた。ただ、宛名に記された4人は妹のスマホに登録されていたんだ。おそらく友達だろう」
「中身は確認されたんですか?」
和田は大きく頷いてから答えた。
「鷹山さんがお兄さんに了解を取った上でね。これが、中に入っていた手紙のコピーだよ」
奈緒子に渡された手紙のコピーは”白紙”だった…。
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「何も書かれてなかってことですか?それとも…」
「鷹山さんと国上さんの見解は”後者”です。書いた文字が消えた…。お父さんの丸島が残した、水野さんに宛てた手紙の写しには自筆の文言が入っていましたし…。ただ、丸島が鬼島から受け取った手紙はまだ未開封のままなので、中の現物が白紙かどうかは確認してませんが…」
「和田さん…、今そちらが捉えている範囲の見解を教てもらえますか?」
「わかりました。奈緒子さん…」
二人は目と目をぶつけ合って、”再確認”し合った。
この先へともに進む踏み絵を…。